血尿について
血尿とは尿の中に血が混じっている状態です。 その程度から2つに分けられ、赤い尿を一目でみて分かる肉眼的血尿と、健診などで尿検査を行ってはじめて判明する顕微鏡的血尿に分かれます。
腎臓や尿路(尿管、膀胱、尿道)で出血があると考えられます。何らかの異常が起きている可能性や、がんが原因となることもあるため、尿路全体の検査が必要となります。検査の結果、前述以外の原因で血尿がみられる場合は治療の必要がないことも多いです。
なお、繰り返し突然生じてしばらく続く、腎臓に一致した部位の強い背部痛や下腹部痛、頻尿、残尿感に肉眼的血尿が加わっている場合は、まずは尿管結石症が疑われます。
尿潜血陽性とは
健康診断などで一般的に行われる尿検査は尿試験紙法による検査です。尿に浸けた試験紙の色の変化をみて1+以上と判定されると尿潜血陽性です。尿潜血陽性とされれば尿の顕微鏡検査による確認が必要です。顕微鏡検査は健診で同時にされることもありますが、ほとんどは泌尿器科医療機関を受診して行うことになります。
顕微鏡的血尿とは
尿を遠心分離した後に顕微鏡検査を行い、血尿が判明するものです。 加齢と共に増加し、女性に多く、日本人では500万人弱の方があたるといわれています。 顕微鏡的血尿程度のレベルでは血尿そのものによって貧血を来たすことはまずありませんが、原因の精査は必要とされます。
蛋白尿を伴う血尿とは
蛋白尿を伴う血尿、さらに、顕微鏡的血尿のうち、変形赤血球を伴う血尿は、腎性血尿といって慢性腎炎等の腎疾患を疑います。まずは採血、検尿等による精査を考えます。
なお蛋白尿は、例えば膀胱炎や尿路の結石やがん等の泌尿器科疾患で生じることも多く、さらに女性では尿の採り方(中間尿で出来なかった)次第で生じることもあります。まずは受診してご相談下さい。
肉眼的血尿とは ~単なる膀胱炎ではないかも・・・
肉眼で見て分かる血尿です。肉眼的血尿は小児や25歳以下の若年者を除くと、泌尿器疾患によることがほとんどです。肉眼的血尿のうち、無症候性肉眼的血尿(血尿以外の症状がない肉眼的血尿)の原因疾患は、膀胱癌、腎癌、腎盂・尿管癌といった泌尿器癌、尿路結石、前立腺肥大症、糸球体疾患、出血性膀胱炎、特発性腎出血などがあります。超音波(エコー)検査等による精査を進めます。
なかでも、50歳以上の血尿で最も多い原因は膀胱癌です。単なる膀胱炎と思っていても実は膀胱癌だったということはよくあります。
膀胱内病変の精査は、通常まずは超音波検査を行いますが、診断精度は膀胱鏡検査に取って代わるものはありません(例えば胃癌、胃潰瘍の検査に胃カメラを行うようなものです)。当院では予約で細径の軟性膀胱鏡電子内視鏡による膀胱鏡検査を行っています。検査は通常数分以内で終わります。緊急性の高い場合は受診当日の検査も可能です。
当院では膀胱鏡検査によって毎月膀胱癌がみつかっています。さらに他の検査を組み合わせることで腎癌や腎盂・尿管癌がみつかることもあります。
膀胱癌がみつかれば、紹介状が無いと受診出来ない連携病院にスムーズに紹介致します。膀胱癌は早期に発見されれば内視鏡による手術で根治可能です。血尿が出た方はちゅうちょすることなく、まず当院を受診されるようお勧めします。