過活動膀胱について
40歳を過ぎた頃から、急に尿意がこみあげてきて、あわててトイレにかけこみ、間一髪間に合った、あるいは、間に合わず少し出てしまった、といったことが増えてきます。
尿意切迫感(急に強い尿意が起きる)を伴う頻尿の状態、を過活動膀胱といいます。尿漏れ(切迫性尿失禁)は必ずしも必須ではありません。
尿意切迫感は週1回以上、頻尿は1日8回以上として、日本では、40歳以上では8人に1人があてはまります。
過活動膀胱の原因はさまざまで、尿意切迫感は、例えば、水が流れる音や寒さやストレスがきっかけとなっておこることも多いです。さらに下部尿路をつかさどる脳・脊髄・神経疾患が原因となったり、例えば男性では前立腺肥大症などの前立腺疾患、女性では膀胱炎や骨盤臓器脱(子宮下垂、膀胱下垂)などが原因でおきることも多く、さらに薬の副作用でおきることもあります。
トイレが近いのは一種の老化現象と思われる方もいるかもしれませんが、実は何らかの病気を発症していたという可能性もありますので、心当たりのある方は受診ください。
症状について
- 尿意切迫感
- 頻尿
- 尿失禁(必須ではありません)
検査について
過活動膀胱が疑われる場合、原因となる他疾患の可能性を含めて精査します。まず過活動膀胱症状質問票での確認や、検尿検査で尿路感染症等の除外を行い、腹部エコー(超音波検査)で残尿の有無等を含めて精査します。
治療について
原因疾患がみつかれば、まずは原因疾患に対する治療を開始します。
他に原因疾患が無ければ、生活指導や行動療法(尿意を感じても我慢することで、徐々に膀胱容量を増やしていく、膀胱訓練です)、薬物療法(β3刺激薬、抗コリン薬など)を行います。また尿失禁に対しては干渉低周波治療を行うこともあります。
難治性過活動膀胱に対する
ボトックス治療について
2020年4月、難治性過活動膀胱に対するボツリヌス毒素(ボトックス)膀胱壁内注入療法が保険適応となりました。当院でも局所麻酔または仙骨硬膜外麻酔下での日帰り治療で行っております。
膀胱鏡下に膀胱壁内に薬を注射することで、膀胱の筋肉を緩め、異常な収縮をおさえます。効果は2~3日であらわれ、4~8ヶ月持続します。所要時間は麻酔も含めて20~30分程度で、費用は3割負担で58,000円程度です。
内服治療でコントロールできなかった尿意切迫感・尿失禁・頻尿に有効性が認められています。 希望される方は、泌尿器科でご相談ください。